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BEPPU SESSION PLUS #1 開催報告

DATE : 2024-08-15



2024年7月14日(日曜日)に別府のスリランカ料理店ランカハットにて、BEPPU FAN TOWN今年度1回目の交流会であるBEPPU SESSION PLUS -International Entrepreneurs-が開催されました!

今回、ONE BEPPU DREAM AWARD(以下、OBDA) 2023(ONE BEPPU DREAM AWARD)で別府からスタートした起業家である、ファイナリストのアラビンダさん、アジナスさん、そしてランカハットのオーナーである、アンジェロさんの3名に、事業のご紹介と「日本での起業」についてトークセッションをおこなっていただきました。

事業紹介:アラビンダさん(Aravinda Wijesinghe)

アラビンダさんは、日本に住む外国人を、デジタルメディアとアプリを通じて、サポートする事業に取り組んでいます。

スリランカの大学で、ソフトエンジニアリングを学んだ後、フリーランスとして働き、APUの入学をきっかけに来日されました。APU卒業後、Mochiron株式会社を設立し、自らと同じ外国人向けにWebサイト開発やSNS運用、マーケティング等をおこなう事業を展開します。

デジタルメディア、アプリを通じて、日本に住む外国人を支援する事業をおこなうなかで、外国人が日本で暮らすためには、もっと多くの支援と情報が必要だとわかり、それが先日ローンチされた「My Beppu」というアプリを開発しようと思ったきっかけとなりました。

情報格差の解消に取り組むために、日本でも外国人割合が高い別府から始めることにし、アプリ上で25種類の外国人が定住に必要な情報を提供するとのことです。さらに、このアプリを通じ、日本の企業と外国人をつなげたいと考えました。例えば、日本企業も外国人にSIMカード、クレジットカード、保険などを売りたいと思うものの、実際にどのようなアプローチをすればよいか悩んでいるとのことです。

アラビンダさんは、このアプリ上で日本企業が登録し、在住外国人を対象にSIMカードや保険といった様々なソリューションを販売できるプラットフォームを構築したいとのことです。

事業紹介:アジナスさん(Muhammad Ajnas Ahmed)

アジナスさんは、高齢者との国際交流を通じて、APU生と地域の方との間に、有意義な異世代間のつながりを築くことを目的に、「GENECT」というプロジェクトに取り組んでいます。

インド出身のAPU生のアジナスさんは、最初はAPUの学生団体プロジェクトとして始めましたが、参加学生と高齢者の双方に影響が及ぶのを見て、より真剣に取り組み、NPO法人にしたいと思うようになったとのことです。

現在、日本社会では社会的孤立と世代間断絶が、高齢者が直面している課題です。例えば、65歳以上の日本人のうち約2割が独居で、そのうち15人のうち1人は2週間に1回しか他人と話さない生活を送っているとのことです。その結果、人間関係の希薄により病気につながるという問題も発生します。

そこで、誰もが年を取るからこそ、高齢者とAPU生が異世代・異文化交流をすることで、高齢者とAPU生お互いに刺激を受け、世代間・社会のつながりを生み出す活動に至ったとのことです。

GENECTでは、様々な国・地域からのAPU生が介護施設を訪れ、歌や伝統的な衣装の紹介などの文化交流活動をおこなっており、将来的には、介護施設から各プログラムに対する資金提供を受けられるように、活動の収益化を目指しています。

事業紹介:アンジェロさん(DE SILVA Lakshan Anjallo)

アンジェロさんは、別府でLion Hub株式会社を経営し、紅茶、スパイスの輸入やレストラン運営等をおこなう飲食事業と、レンタカー事業や自動車販売・輸出等をおこなう車両事業、2つの事業に取り組んでいます。

APUで経営学、マーケティングを学んだのち、まず最初に市場調査と、別府でイベントを開くことからはじめ、2019年にスリランカ料理店「ランカハット」をオープンしました。その後、会社を設立し事業を拡大し、この1年間に、ランカハット2号店を成田に、レンタカー営業所の2店舗目を大分空港前にオープンしました。

飲食事業では、お茶やスパイスを使ったスリランカ料理を提供し、車両事業では、留学生をはじめ外国人向けに、別府・大分の観光や生活に必要なレンタカー、自動車販売をおこなっています。

トークセッション「日本での起業」

3名の事業紹介の後、OBDA 2021ファイナリストの末光伊芙季さんをファシリテーターに迎え、日本での企業についてトークセッションをおこないました。

「なぜ日本で起業なのか」

なぜ日本を選んだかについて、3名に聞いたところ、アラビンダさんは、奨学金制度があったことからAPUに留学したところ、日本では外国人に対して支援やサービスが足りていないが、その分多くのビジネスチャンスがあると気づき、卒業後も日本でビジネスを始めようと思ったとのことです。

アンジェロさんは、父親が日本とスリランカで貿易業を営んでいたことが、ビジネスと日本との関わるきっかけであり、学生時代から家業を手伝っているうちに、ビジネスについてもっと学び、自分で事業を起こしたいと思うようになり、英語の勉強もできるAPUを選んだとのことです。

アジナスさんは、高校卒業後の進路としてシステムエンジニアを考えていましたが、インドでは待遇の良いエンジニアになるには競争が過熱しており、日本のレストランで働いた経験がある父親から、日本を勧められ、奨学金制度を利用してAPUに入学したとのことです。

「日本で起業するにあたっての課題」

まず大きな課題として、外国人が経営管理ビザ(日本で事業をおこなうために必要な在留資格)を取得する、また事業を資金調達しながら継続する難しさが挙がりました。
普段日本人が暮らすなかであまり意識されていませんが、ビザの取得の要件のひとつには、500万円以上の資本金が必要とされています。

おおいた留学生ビジネスセンター『留学生のための起業ブック』

大分県では様々な申請をすると、この要件が緩和されますが、安定した経営および資金調達は、短期の経営管理ビザでは非常に難しいとのことです。ビザは短期間である一方で、日本社会の中で外国人がビジネスの面で信頼を築くのには時間がかかることや、また日本ではスタートアップを支援する良い仕組みがまだ整っていないことも課題として挙がりました。

「起業を志す方へのアドバイス」

起業・創業を目指す方へのコメントとして、「お金のためだけにビジネスをするのではなく、何かを成し遂げたい、現実の問題を解決したい、という情熱を持っていないと、事業を継続するのは難しい」「まず自らのやりたい気持ちを明確にして、経験や知識、認知を得るといった準備をおこなうのが良い」等、経験に則したアドバイスがありました。

また、実際に別府で受けられた支援について、アジナスさんから、最初は日本での起業に関する知識は無かったが、SPARKLE(おおいた留学生ビジネスセンター)やB-biz LINKから、制度やビジネスについてサポートをしてもらえたこと、何よりも同じく起業家である末光さんに、数多くのサポートをしてもらい、日本で事業をやってみようと思う気持ちになった、という話がありました。

そのほか、登壇者への質疑応答や、支援機関であるSPARKLE、別府市産業政策課からのお知らせ、トークセッション後の交流会では、ランカハット特製の料理が振る舞われ、活発な意見交換・交流がおこなわれました。

おおいた留学生ビジネスセンター(SPARKLE) 紹介動画

別府市産業政策課「令和6年度別府市創業支援事業補助金」
 申請受付期間【二次募集】2024年8月1日(木曜日)~2024年9月30日(月曜日)17時必着

支援機関が今回のイベントのように、直接お店に来て近況確認をすると、経営者が今どのように頑張っているかが理解できると思う、というコメントも頂きました。
もし皆さまの周りで、外国人の方が起業を検討されていたり、相談を受けたら、ぜひSPARKLEやB-biz LINKといった様々な支援機関が、別府にあることを教えていただけると幸いです。

なお、今年度のOBDAのエントリーも受付中です。別府で起業・創業したい方や別府で事業拡大したい方のエントリーをお待ちしております。

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